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境界性パーソナリティ障害の投影性同一視と部分的対象関係とは?

境界性パーソナリティ障害の人の代表的な特徴のひとつに「極端な思考」があります。

白か黒か、正義か悪か、良いか悪いか、好きか嫌いか、という二極思考の傾向が強く、2つの間がない極端な考え方のパターンが境界性パーソナリティ障害みられる特徴です。

この境界性パーソナリティ障害の二極思考の背景をみてみると「投影性同一視」と「部分的対象関係」という言葉が出てきます。

そこで今回は「投影性同一視」と「部分的対象関係」について書いてみたいと思います。

部分的対象関係とは、どういう意味?

境界性パーソナリティ障害の「投影性同一視」を説明する前に「部分的対象関係」を先に理解しておく必要があります。

「部分的対象関係」とは、精神分析家のメラニー・クインが提唱した関係性の意味です。

例えば、赤ちゃんにとっては、おっぱいをくれる=授乳してくれる母親は「よい母親」となりますが、お腹が空いて空腹なのにおっぱいをくれない=授乳してくれない母親は「悪い母親」となります。

よい母親もわるい母親も、どちらも同じ「ひとりの母親」です。

時と場合によって、すぐに授乳できる場合とできない場合もあるのが現実ですが、赤ちゃんなど乳幼児にはそういった事情は理解できません。

この関係を「部分的対象関係」と呼びます。

子供が成長するにつれて、ある時期で、よい母親とわるい母親はひとつに統一されるのですが、境界性パーソナリティ障害の人においては統一される前のままに止まっていると考えられています。

そのため、ひとりの人において、良いところもあれば悪いところもある、ということが境界性パーソナリティ障害の人には理解できないのです。

白か黒か、と考え方や感じ方が両極端に分かれてしまう「二極思考」となり、不安定な人間関係に陥ってしまうのです。

投影性同一視とは、どういう意味?

相手の良い面か悪い面か、どちらの面が見えるかは、境界性パーソナリティ障害の本人のそのときの気持ち次第です。

悪い母親、と見るときには、自分に対して持っている「悪い自分」のイメージが大きくなり「投影」され、母親と自分が同一視されているのです。

これを「投影性同一視」といいます。

投影性同一視は、自分自身の心を守ろうとする無意識の働きです。

極端な考え方「二極思考」

白か黒か、良いか悪いか、という極端な考え方「二極思考」は境界性パーソナリティ障害のおおきな特徴です。

人や物事に対して、極端に2つにわけてしまい、その間、中間がまったくなくなってしまいます。

些細なことですぐに「死ぬ」と言い出すのも、この極端な考え方が原因です。

2つの間にあるさまざまなプロセスが境界性パーソナリティ障害の人には見えないのです。

境界性パーソナリティ障害の症例「私に死ねと言うひどい母親です!」

17歳の女子高生の境界性パーソナリティ障害の症例。

病院に診察に来た時に「私に死ねと言う、最低な母親です!」と怒っていました。

医師が話を聞いてみると、診察日の朝、本人が母親に「先生に何を話せばいいかな」と相談しました。

ちょっと甘えた口調で母親に聞いたのですが、母親は「なんでもいいよ。話したいことを話せばいのよ。」とやさしくこたえました。

すると「話すことなんてないの!」と言いながら物を投げ始めたので、母親が「やめなさい」と注意しました。

そしたら「お母さん、私のことが嫌いになったんでしょ!」と急に怒り出して「死んだほうがいいと思ってるんでしょ!」「死んでやる」と興奮してしまいました。

困り果てた母親が「それもいいかもね」と言うと、本人は激しく興奮しながら泣き出したのです。

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