臨床心理学の歴史について|創始者・世界と日本

「臨床心理学」は、歴史的にもまだまだ新しい学問のひとつですね。

そこで今回は、臨床心理学の歴史(世界と日本)についてしらべてみたので、ポイントを簡単にまとめてみたいと思います。

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ぜひ参考にしてみてください。

臨床心理学の創始者はウィットマー?

臨床心理学は、アメリカやドイツなどの欧米での近代化の流れの中で誕生した学問のひとつです。

古代ギリシャ時代では

古く昔の時代では、心理的に異常行動をするような人は「悪魔に支配されている」ことが原因だ、と宗教的に信じられていた時代もあります。

ですが、古代ギリシャ時代の学者であるヒポクラテスは、精神障害を、うつ病、そう病、精神錯乱などに分類し、それらの原因は脳の異常と考えました。

悪魔の呪いや祟り、と迷信的に考えられた非科学的な時代から、心の問題は「脳」が原因では?と科学的にとらえる時代の始まりですね。

といっても、キリスト教がひろがりつつあった3世紀以降のヨーロッパでは、宗教が異常行動を扱う流れになり、精神病患者が魔女狩りの対象になることもあったようです。

臨床心理学の起源

近代になって、科学が進歩してくると、心理的に異常な行動についての考え方も変わってきました。

1879年、ドイツの心理学者ヴントが心理学実験室を創設し、人間の意識について科学的に研究しました。これが「現代心理学の起源」といわれています。

そして、精神医学などの学問が誕生する中、アメリカのペンシルバニア大学教授のウィットマーが「心理クリニック」を創設し、これが臨床心理学の始まりですね。

臨床心理学は、誕生してからまだ約150年と歴史的にもまだ浅い学問といえます。

様々な学派の対立

臨床心理学が始まった当初、「心」の概念については、いろいろな学派による理論がありました。

例えばその中では、フロイトの精神分析理論では「心を意識と無意識のメカニズム」としてとらえ、スキナーらの行動療法では「心は観察可能な客観的行動」としてとらえました。

また、ロジャーズの「クライエント中心療法」では、心はその人の主観的世界である、と理解しようとしました。

臨床心理士の誕生

臨床心理学が誕生した頃は、まだまだ違う学派が多数あり、学問としては統一されていませんでした。

ですが、20世紀中頃、臨床心理学も社会的な流れによって大きく変化することになります。

大きなきっかけは、第二次世界大戦が集結し、アメリカ国内に大勢の帰還兵が戻り、PTSDの症状が多くみられてことです。

それまでの心理的な医療では対処できず、PTSDをもつ帰還兵のケアのために臨床心理士が必要とされたのです。

その結果、臨床心理士の育成制度、教育訓練システムが整備され、社会制度の中に「臨床心理士」が組み込まれることになったのです。

エビデンスベイスト・アプローチとは?

1952年、イギリスのアイゼンクが心理療法の効果を批判し、論争がおこりました。

その結果、臨床心理学の活動を科学的かつ実証的に評価する研究が発展していくことになりました。

そうした流れもあり、各学派の理論や教義を根拠にするのではなく、具体的なデータという実証を重視する「エビデンスベイスト・アプローチ」が定着するようになりました。

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アメリカやドイツなどの欧米諸国では、エビデンスベイスト・アプローチは臨床心理学の基盤となっています。

臨床心理学が専門的学問として統一される

エビデンスベイスト・アプローチという考え方が定着していくことで、臨床心理学の各心理療法の効果が学派を超えて検証されるようになったのです。

その結果、客観的なデータをもとに臨床心理学の有効性を示すことが可能になり、社会的にも臨床心理学がひとつの専門的な学問として認知されるようになったのです。

どんな問題に対しても万能な心理療法は存在せず、それぞれの問題にあわせて適切な心理療法を選択する必要性が明らかになり、学派を超えて臨床心理学が統一されていくことになったのです。

日本での臨床心理学の歴史は?

日本で臨床心理学が本格的に始まるのは、戦後、アメリカなどの欧米諸国から臨床心理学の知識が日本に入ってきてからのことです。

1964年に全国規模となる日本臨床心理学会が成立しましたが、臨床心理士の資格認定について学会内部で意見が対立し、事実上の解体となってしまった過去もあります。

勢いが衰えた臨床心理学のかわりに心理療法が日本では注目されるようになり、1982年に日本心理臨床学会が成立し「心理臨床学」という日本独自の発展をすることになります。

日本での臨床心理士の資格制度が誕生

1980年後半に入り、国家資格ではないのですが、財団法人の認定資格というかたちで「臨床心理士」の資格制度が始まりました。

日本での「臨床心理士」の誕生ですね。

ですが、教育システムの整備や国家資格化など、まだまだ社会的認知度を高めるためには様々なハードルがあります。

その一方で、学校でのいじめ問題の深刻化などの出来事が頻発するようになり、臨床心理士に「スクールカウンセラー」としての活動が求められるようになりました。

他にも、阪神淡路大震災で心に傷を受けた人々のケアなど、心理的支援の担い手としても臨床心理士は注目されてきています。

臨床心理士の活動内容例

・スクールカウンセラーとしての教育相談
・精神障害などの心理的問題のサポート
・DVや虐待などの被害者支援
・PTSDへの支援
・子育てや高齢者への心理的支援 など

臨床心理学の年代別歴史一覧

1879年 ヴントが心理学実験室を創設
1895年 フロイトによるヒステリーの研究
1896年 ウィットマーが心理クリニックを創設。「臨床心理学」の言葉が誕生する
1900年 フロイトが「夢解釈」を発表
1902年 パブロフが「古典的条件づけ」を発表
1905年 ビネーが「知能研究」を発表
1920年 ワトソンらによって行動療法の研究が行われる
1936年 最初の「臨床心理学テキスト」が出版
1942年 ロジャーズが「クライエント中心療法」を発表
1945年 コネチカット州で心理学者認定の法律制定
1946年 ヴァージニア州で臨床心理士の法律制定
1948年 スキナーが「オペラント条件付け」を行う
1952年 アイゼンクが心理療法を批判
1962年 アルバート・エリスが論理情動療法を行う
1965年 ボストン会議で「コミュニティ心理学」設立
1976年 ベックがうつ病の認知療法を行う
1980年 アメリカ精神医学会がDSM-Ⅲを出版
1990年代 ホワイトらが「ナラティブ・セラピー」を提唱

この記事は、次の文献を参考に記事編集しています。

参考文献
・臨床心理学を学ぶシリーズ(東京大学出版会)
・よくわかる臨床心理学(ミネルヴァ書房)
・テキスト臨床心理学(誠信書房)
・臨床心理アセスメント入門(金剛出版)
・徹底図解 臨床心理学(新星出版社)

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