臨床心理学の3要素(モデル)とアプローチとは?

臨床心理学では、3つの要素(モデル)とアプローチによって構成されているということができます。

クライエントが抱えている様々な問題を解決するために、各専門家が協力体制をつくり、問題解決、現状改善のサポートをおこなっていく上で、大切な3つの要素(モデル)とアプローチになります。

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そこで今回は、その臨床心理学の3要素(モデル)とアプローチについてポイントをまとめてみたいと思います。

臨床心理学の3つの要素/モデル

かつては、医療の領域においては、患者の病気に対する生物学的な要因しだけしか考慮されず、身体の治療だけが対象になっていました。

そうした医療モデルは「生物医学モデル」といい、医師が治療の中心であり、臨床心理士や看護師、社会福祉士は、あくまで医師の補助的な役割(パラメディカル)という位置付けでした。

ですが、この生物医学モデルによる医療の限界についても指摘されるようになり、代わりに提案されたのが「生物ー心理ー社会モデル」です。

生物ー心理ー社会モデルとは?

この「生物ー心理ー社会モデル」は、3つの要素(生物・心理・社会)から構成されています。

これは、ロチェスター大学の精神科医であるエンゲル博士が提案した理念です。

この「生物ー心理ー社会モデル」の理念が提案された背景には、生活習慣病や痛みに対するケアやストレスによる病気など、医学が扱う問題が多様化してきた、という社会的な流れがあります。

細菌やウイルスなどの生物学的な原因を治療する、という従来の医学の考え方だけでは、様々な問題に対応しきれなくなてきたのです。

生物的アプローチ

まず生物的には、遺伝や細胞、神経、細菌などがクライエントの抱える問題の原因になります。これらの諸原因に対して、医師、看護師などの医療スタッフを中心に、手術や薬物治療、リハビリなどによってアプローチします。

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心理的アプローチ

次に、心理的には、クライエント本人の認知、価値観、信念、感情、ストレスなどが主な要因になります。臨床心理士によって、心理療法や心理教育を中心とした認知行動療法的アプローチが行われます。そうしたアプローチによって、クライエント自身が、自分の病気や環境に適切に対応できるような考え方や行動を改善します。

社会福祉的アプローチ

そして、社会的には、クライエントの家族や地域の人々のソーシャルネットワーク、生活環境、経済状況、文化や人種などが要因になります。社会福祉士や児童福祉司などの福祉職が、社会復帰のための訓練や家族のサポート、福祉サービスの提供などの社会福祉的アプローチを行います。

各分野の専門家によるコラボレーション

「生物ー心理ー社会モデル」において重要なのは、各分野の専門家が協力体制を築くことにあります。

それぞれの分野の専門家が、バラバラに自分の得意分野にだけ特化したサポートを行うことではないのです。

人間は、生物的、心理的、社会的、それぞれの側面がお互いに関係しあいながら日常生活を送っています。

問題が生じ始めた最初のうちは、ひとつの側面だけであっても、最終的には他の側面にも影響がでてきます。

そのため、クライエントの問題解決には、さまざまな分野の専門職がお互いの専門性を尊重しあい、コラボレーションし、サポートネットワークを築くことが大切なのです。

まとめ「生物ー心理ー社会モデル」

・生物
細胞、遺伝、神経、細菌、ウイルスなど
医師や看護師が、手術、薬物治療などによって生物医学的アプローチをおこなう

・心理
認知、信念、価値観、感情、ストレス、人間関係など
臨床心理士が、心理療法や心理教育など認知行動的アプローチをおこなう

・社会
生活環境、経済状況、人種、文化、教育など
社会福祉士や児童福祉司が、家族のサポート、福祉サービスなど社会福祉的アプローチをおこなう

この記事は、次の文献を参考に記事編集しています。

参考文献
・臨床心理学を学ぶシリーズ(東京大学出版会)
・よくわかる臨床心理学(ミネルヴァ書房)
・テキスト臨床心理学(誠信書房)
・臨床心理アセスメント入門(金剛出版)
・徹底図解 臨床心理学(新星出版社)

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