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臨床心理学の基本理念「コラボレーション(協働)」とは?

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臨床心理学の基本理念のひとつに「協働=コラボレーション」があります。

コラボレーションを簡単に言うと、専門分野が違う人々が、お互いに協力しながら問題の解決を図ることです。

この中には、臨床心理士や精神科医以外にも、看護師、社会福祉士などの専門家、また、クライアントの家族など専門家ではない人も含まれます。

【臨床心理学】コラボレーション=協働の定義とは?

「コラボレーション=協働」の定義とは、立場が違う人たちや機関が、共通の目的達成のために責任と資源を共有し、対等な立場で意見を出し合って対話を重ねながら活動を発展させていく協力体制のこと、となります。

違う立場、違う職種の人たちが、お互いに対等な関係性で協力し、影響し合うチームワークの形を意味しています。

この「コラボレーション」の考え方は、1970年代の欧米で始まり、1990年代に医療・福祉・教育など、人に対して援助サービスを行う分野で重要視されるようになりました。

日本でも2000年以降になってから「コラボレーション=協働」という考え方の重要性に注目が高まっています。

また、コラボレーション以外にも、

・コンサルテーション
・リファー
・コーディネーション

など、異なる職種間の協力体制には様々な形態があります。

コラボレーションのメリットは?【臨床心理学】

次に、臨床心理におけるコラボレーションのメリットについて。

コラボレーションのメリットは大きく次の3つがあげられます。

①クライエントに利益がよりもたらされる

臨床心理におけるコラボレーションがもたらす第一のメリットは、クライエントに利益がよりもたらされる、ということです。

臨床心理士や医師だけでなく、他の専門家とのチームワークにより相乗効果が生まれ、様々なサービスを提供することができ、その結果、クライエントにより利益がもたらされることにつながります。

②サポートする側にもメリットがある

コラボレーションの第2のメリットは、サポートする側にもメリットがある、という点です。

チームで協力してクライエントを支えることで、一部の専門家の負担が重くなりすぎることを防ぐことができます。

また、他の様々な分野、職種の専門家とコミュニケーションをとることは、自分自身の専門性についても他の観点から見直す良い機会にもなるのです。

③新たなサービスが生まれる可能性がある

第3のメリットは、新たなサービスが生まれる可能性があることです。

異なる職種、分野の専門家が直接コミュニケーションを深め、クライエントの問題やニーズを把握することは新たなシステムを開発する力になるのです。

臨床心理|コラボレーションの課題について

いろいろなメリットがある臨床心理のコラボレーション=協働ですが、コラボレーションが成立するためには多くの課題もあります。

例えば、チームで援助計画を立てるため、個人で行うと場合と比べて融通が利かなくなりやすいこともあります。

それぞれの専門家が自分の専門性を追求することによって、方針や考え方がまとまりにくくなることもかんがえられます。

その結果、クライエントの状態の変化に応じて、目標や方針を細かく調整することが困難になることもあります。

こういった課題を乗り越えるためには、各専門家間での情報の共有方法を工夫したり、お互いが他の専門性を尊重するなどの心構えも大切になってきます。

この記事は、次の文献を参考に記事編集しています。

参考文献
・臨床心理学を学ぶシリーズ(東京大学出版会)
・よくわかる臨床心理学(ミネルヴァ書房)
・テキスト臨床心理学(誠信書房)
・臨床心理アセスメント入門(金剛出版)
・徹底図解 臨床心理学(新星出版社)

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