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ADHDは遺伝する?親や家系、兄弟、家族間の発症率が高い?

ADHDは同じ家系において、高い頻度で発症する傾向がみられます。

ADHDに関わりのある遺伝子はいくつかあり、血縁者の場合では同じ遺伝子を持つ可能性が高いため、家族性が生じると考えられています。

ADHDは家族で遺伝する?遺伝子との関係は?

最近の発達障害においての研究では、ADHDの発症には約20個の遺伝子が関係していることが明らかになっています。

例えば、神経伝達物質ドーパミンの働きに関しては、ADHDの人の多くは、ドーパミン受容体やドーパミン再取り込みの働きに影響を与える遺伝子の型が、通常の人とは違うことがわかっています。

こうしたADHDと関連する遺伝子の形を持った人が家族の中にいると、そうではない家系の人と比べて同じ方の遺伝子を持つ確率が高くなり、ADHDの人がいる家系では他の家族もADHDを発症しやすいといえます。

家族内でのADHDの発症率は?

海外でのADHDの研究報告によると、きょうだいがADHDの場合、他のきょうだいもADHDである確率は25%〜35%、一卵性双生児(双子)では55%〜92%となっています。

また、両親ともADHDの場合、子どもがADHDを発症する確率は20%〜54%となっています。

このように親やきょうだいにADHDがいる場合、そうではない人と比べてADHDになりやすい傾向があるということが、実際の研究結果からわかってきています。

ADHDは遺伝性というより家族性

こうしてみると「ADHDには遺伝性がある」と考える人もいるかもしれません。しかし、親がADHDだと子どももADHDになる、というほどの強い遺伝性があるわけではありません。

たしかにADHDと関連のある遺伝子は複数ありますが、それら全部の遺伝子の型が親から子どもへと受け継がれるわけではないからです。

また、ADHDと関係がある遺伝子がすべて解明されているわけではなく、遺伝とADHDの関係性についてはまだよくわかっていないことも多いのです。

ですので、ADHDに遺伝性があるというよりも、家族性があるという言葉のほうが当てはまるでしょう。家族に糖尿病の人がいると自分の糖尿病になりやすい、親が肥満気味だと子どもも太りやすい体質、という程度の関係性といえます。

子どもの診断で親のADHDに気づく例も

日本国内において、最近の10数年で、発達障害やADHDという言葉も一般社会に定着し、一定の割合でADHDの人がいることを知っていたり、治療法や適切な対応方法を理解している人も増えてきています。

今現在の子どもたちの中には、ADHDの診断がされ、適切な治療や支援を受けているケースも少なくありません。

また、ADHDの家族性の面から考えてみると、そうした子どもの親の中にもADHDがいる確率はかなり高いといえます。

実際、子どもの受診をきっかけに、親のADHDが判明する例もあります。

「子ども時代から、なぜ自分だけみんなと同じようにできないのか」と悩み続けていた理由がやっと分かった、という親もいます。

自分に「ADHDの傾向がある」「ADHDかもしれない」とわかるだけで、安心する親も中にはいるのです。

◆この記事は、お茶の水女子大学大学院教授である榊原洋一先生執筆・監修の「図解よくわかる大人のADHD(ナツメ社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが編集を行っています。

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