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エンパワーメントの意味は?定義と概念を簡単に|臨床心理

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「エンパワーメント」という言葉は、もともとは法律用語の「権利や権限を与えること」という意味の言葉に由来しています。

それが今では、医療・福祉・発展途上国の開発援助など、様々な分野で使わる言葉になっており、幅広い概念を持つようになっています。

そこで今回は、臨床心理の分野における「エンパワーメントの意味・定義・概念」について簡単にポイントをまとめてみたいと思います。

エンパワーメントの意味・概念・定義

「エンパワーメント」の言葉の由来は、「権利や権限を与えること」という意味の法律用語です。

この「エンパワーメント」という言葉は、1960年代のアメリカ国内の社会改革活動の流れのなかで使われるようになり、その後、医療・福祉などの分野にも概念が広がっていきました。

現在では、エンパワーメントの概念は「社会的に差別や搾取を受けて社会的弱者となり、自分自身で問題を解決していくパワーを奪われた人たちが、その力を取り戻すプロセス」という意味で定義されています。

臨床心理学におけるエンパワーメントとは?

臨床心理学におけるクライエントは、自分自身の力で問題解決ができないほどに力が弱っている人々といえます。

臨床心理士は本来そうした人々が自ら問題解決・改善ができるよになるためにサポートをする役割です。

しかし、臨床心理士のサポートが一方的な場合、クライエントが自ら判断して問題を解決する力を奪ってしまい、臨書心理士への依存度を高めてしまう原因にもなりかねません。

そこで大切なのが「インフォームド・コンセント」です。

クライエントに対して、サポート内容を事前に説明し、複数の選択肢を提示することを通して、クライエントの主体性を尊重し、エンパワーメントを実感することにつながるのです。

エンパワーメントの留意点・注意点

エンパワーメントを実践するにおいて、サポートする側である臨床心理士が気をつけたい留意点は、責任放棄をしないことです。

クライエントに対して、問題の解決の選択肢を提示し、クライエント自身がどの方法か選択する権限を持ったとしても、単にクライエントの言うなりにする、ということではありません。

臨床心理士は、専門家としての見解を説明し、クライエントと話し合い、双方が納得できるところを探し、合意していく作業が大切なのです。

臨床心理士によるケースフォーミュレーション

臨床心理士は、クライエントが持っている問題の原因や成り立ちの背景について、仮説を立てて介入計画を立てます。

これを「ケース・フォーミュレーション」といい、インフォームド・コンセントの際に説明します。

たとえ、その介入計画がクライエントの意にそぐわないものや、クライエント自身のニーズと違っていても、臨床心理士は責任をもって専門的な見解として提案することが大切です。

エンパワーメントのプロセスを簡単に

臨床心理士の実践活動においても、クライエントがエンパワーメントを実感するために次のようなプロセスが重要になります。

①アセスメントをおこなう
臨床心理士は、クライエントとの面接、観察、検査をおこなって、問題の原因についての仮説と介入の計画をたてる(ケースフォーミュレーション)

↓↓

②インフォームドコンセントをおこなう
臨床心理士は、クライエントに、問題を解決改善するために、どのような介入方法があるか専門的な見解を提案する。

③クライエントのニーズを聞く

↓↓

④話し合う
複数の選択肢の中から、クライエントと臨床心理士が納得出来るところを探り、合意するまで話し合う。

↓↓

⑤介入方針を決定する
介入方法の決定にかかわることでクライエントの主体性が尊重される。そのことがクライエントのエンパワーメントを実感する助けになる。

この記事は、次の文献を参考に記事編集しています。

参考文献
・臨床心理学を学ぶシリーズ(東京大学出版会)
・よくわかる臨床心理学(ミネルヴァ書房)
・テキスト臨床心理学(誠信書房)
・臨床心理アセスメント入門(金剛出版)
・徹底図解 臨床心理学(新星出版社)

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