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目次
臨床心理士の仕事内容「研究活動」とは?【臨床心理学】
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臨床心理学の専門家である臨床心理士の主な仕事内容は、悩みや問題を持っているクライエントの心理的なサポートです。
臨床心理士が行う心理的サポートには、例えばロジャーズのカウンセリングや、様々な心理療法の技法があるのですが、それらのアプローチが本当に効果的なのか、有効なのか、を確認することも同じくらい大切なことです。
「有効かどうか」「役に立っているか」を科学的に研究する臨床心理士の活動を「研究活動」といいます。
臨床心理士の研究活動の必要性
臨床心理士が、クライエントの悩みや問題解決の心理面でのサポート(実戦活動)をするとき、自分のアプローチが有効なのか、確認することも大切です。
クライエントの悩みの解消、問題解決に本当に役立つ方法をとれている、意味のない方法やアプローチに陥っていないか、ちゃんとチェックする必要があります。
そのように、臨床心理士のアプローチ方法を科学的に検証していくための活動を「研究活動」と臨床心理学では呼んでいます。
研究によって、アプローチや各技法の有効性を証明し、また、新しい技法や理論を検証していきます。
臨床心理学の研究活動はどんな内容なの?
臨床心理学での様々な研究によって「一般的に、このタイプの問題にはこの介入方法、アプローチが役にたつ」という専門知識が徐々に蓄積されてきています。
とはいっても、現実的には、クライエントによって個人差があったり、置かれている状況や事情もまったく同じではなく、個別に違いがあるものです。
そのため、どんな人でも、どんな問題にでも、一般的な理論や技法が有効である、とまではいきません。
仮説を立てて、検証を行う
そこで、臨床心理学の観点から、まず問題がどんな成り立ちなのか「仮説」を立て、その仮説にもとづき、アプローチ方法や全体の方針を決定してクライエントに介入をおこなっていきます。
そして、実際の事例から得られたデータを集め、仮説を検証してアプローチ方法や技法を修正していく、というプロセスになります。
臨床心理士のクライエントへの心理的サポートは、「仮説→検証」という構造になっていて、その点おいて臨床心理学の研究活動にもなっている、ということですね。
「実践を通しての研究」と「実践に関連する研究」
仮説を他のクライエントの問題や悩みにも適用するためには、仮説に一般性が必要になります。
この一般性がある仮説を見つけ出そうとする臨床心理学の研究を「実践を通しての研究」といいます。
また、仮説の一般性を調査や実験を行い科学的に検証することを「実践に関連する研究」と臨床心理学では呼んでいます。
役立つ新しい理論を作り出す
臨床心理学では、臨床心理士による「実践を通しての研究」と「実践に関連する研究」を相互に繰り返す事で、新しい理論(モデル)が生まれます。
臨床心理学の研究活動は、クライエントをサポートする実践活動と重なり合いながら、理論をさらに発展させる関係になっているのです。
また、様々な研究活動を通して、臨床心理学は社会に対して専門的学問としての有効性や科学性を証明することにもつながります。
臨床心理士の研究活動は、臨床心理学の専門活動のひとつでもあり、実践・研究・専門の3つの活動が重なり合っているといえます。
臨床心理学の研究活動の流れ
①実践を通しての研究(実践性)
↓
新しい仮説
↓
②実践に関連する研究(科学性)
↓
仮説の検証
↓
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この記事は、次の文献を参考に記事編集しています。
参考文献
・臨床心理学を学ぶシリーズ(東京大学出版会)
・よくわかる臨床心理学(ミネルヴァ書房)
・テキスト臨床心理学(誠信書房)
・臨床心理アセスメント入門(金剛出版)
・徹底図解 臨床心理学(新星出版社)
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