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目次
発症年齢は思春期が多い?境界性人格障害/ボーダーライン
なぜ境界性人格障害(ボーダーライン)を発症するのか、その原因の研究はかなり難しい問題です。
一昔前では、子供時代の親子関係(母子関係)が大きな発症原因ではないかと注目されていました。
ですが、最近では少し様相が変わってきているようです。
境界性人格障害は思春期の発症が多い?
境界性人格障害(ボーダーライン)の発症の背景には、学校の友人関係でのトラウマ体験(いじめ・性的外傷など)の影響があることを否定できません。
また、近代になって社会環境が大きく変化したことも要因となり、自我形成の時期である思春期が遅くなってきています。
自我が未成熟なまま進学、就職のタイミングとなり、異性問題や仕事上のトラブルに直面したとき、過去の心のトラウマが表面化して、精神的に混乱状態になりやすいのです。
境界性人格障害(ボーダーライン)の人は、恋愛と仕事という人生の中での大きな転機を乗り越えられないのです。
「思春期のずれ」も境界性人格障害の要因に
本来、アイデンティティの形成は思春期とされていました。
ですが、現代では、思春期の時期がずれてきて、なかなか自我が成熟しにくい時代といえます。
思春期がずれてきている要因には、子供が大人の中で育つ仲間経験が少ない、社会経験が足りないことが大きいと考えられます。
現代の子供達は、精神的に成長できず未熟なまま社会に出ることになります。未熟な自我のままでは、何か困難な状況に遭遇したとき、自分一人の力で乗り越えることができず、誰かに依存したがります。
現代社会でのアイデンティティの確立は、25歳から35歳くらいの時期と考えられていますが、身体的な発育は10歳から13歳と早く、「身体は大人だが、心は子供」という不安定な時期が長くなっていることも、境界性人格障害(ボーダーライン)の患者数増加と関連があるといわれています。
仲間経験の少なさもボーダーラインの原因?
小学校高学年に頃には「仲間集団」ができ、そのグループのなかで切磋琢磨する仲間体験が、正常な時が形成においては重要な役割があります。
発達心理でいうところの「ギャング集団」は、子供が大人を知るためのスタートとなっているのです。
しかし、現代社会では、学校においても、学級崩壊が象徴するように健康な仲間関係が発展しにくく、同性で同年代の集団は、心の健全な成長のためではなく、トラウマの温床と化しています。
子供達がお互いに傷つけあう、という最悪な可能性も低くありません。
近年では、思春期の時期が遅れてきていることもあり、社会に出て仕事をする年齢になってきて仲間を欲しがる傾向があり、25歳以上でないと子供が自分たちだけの世界をつくるのはリスクが高いといわれています。
社会経験が少なく、視野が狭い
境界性人格障害(ボーダーライン)の人は、いつも一対一の人間関係にフォーカスする傾向があります。
友達が少なく、親友だと思っていたけど自分の思い通りに動いてくれないだけで「裏切られた」と思い込んでしまうことも多いです。
仲間経験が少ない境界性人格障害(ボーダーライン)の人は、人間関係を複数の関係ととらえることができず、視野が狭く、全体を見渡すことが苦手なのです。
境界性人格障害(ボーダーライン)の人が視野が狭くなっている要因には、同性、同年代の友人たちと遊ことが少なくなっていることが大きな影響を与えています。
家や自分の部屋にこもり、ひとりで遊べるようになってしまった現代では、人間関係について学ぶ機会が減っているのです。
複数の人間関係の中で、試行錯誤しながら、自発的、積極的に遊ぶことを身体で体験していないので、世界も狭くなり、社会的な経験が圧倒的に足りないのです。
◆この記事は、パーソナリティ障害臨床の第一人者である岡田尊司先生(岡田クリニック院長)執筆・監修の「ササっと分かる境界性パーソナリティ障害(講談社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが編集を行っています。
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