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目次
【ADHDの治療方法】薬物療法、認知行動療法、環境調整法について
ADHDは子どもの発達障害としてだけではなく、大人のケースも少なくなく、何の対策や対応もせず症状を放置しているだけでは、状態が悪化したり、二次障害や合併症を発症してしまうことになってしまいます。
そこで今回は、ADHDの治療方法である、薬物療法、認知行動療法、環境調整法について、ポイントをまとめてみたいと思います。
ADHDの治療方法について
大人のADHDでも子どものADHDでも、主な治療方法は次の3つが柱となります。
①薬物療法
コンサータなどの治療薬で問題となるADHDの各症状を緩和させる
②認知行動療法
認知の偏りを改善し、場面やシチュエーションに適切な行動ができるようにSST(ソーシャルスキルトレーニング)を実施する
③環境調整法
生活環境などを見直し、気が散りにくい部屋づくりや、忘れ物を減らす対策などを行う
薬物療法でADHDが治るわけではない?
ADHDの治療は、薬を使う薬物療法が効果的ですが、薬は症状をおさえるもので、ADHDを完治させる効果があるわけではありません。
薬物療法とあわせて、認知行動療法や環境改善法を組み合わせていく方法がADHDの治療として求められます。
苦手な部分をカバーしたり、対人コミュニケーションの方法など、社会生活に必要なスキルを身につけて問題改善していくことが大切です。
①薬物療法の効果は?|ADHDの治療方法
薬物療法は、ADHDの治療方法の中でも中心となる方法です。
ADHDの治療薬として代表的なのが「コンサータ(メチルフェニデート塩酸塩)」で、神経伝達物質ドーパミンを活性化する効果があり、不注意、多動性、衝動性が抑えられます。
コンサータは、約80%のADHDの子どもに効果があるという研究データがあり、大人のADHDにおいても同程度の効果があるとされています。
セルフコントロール能力を高める
ADHDの人は、自分の行動や感情をセルフコントロールする能力が低いことが原因となり、様々な問題へと発展してしまいます。
ADHDの各症状は、本人の努力や意思、心がけでどうにかできる問題ではありませんが、心理的なストレスを減らし、適切な状況判断や行動を身につけることで、社会に適応していくことは可能です。
良好な人間関係を築くためのコミュニケーション能力、物事を計画的に行う能力、適切な自己判断や自己評価など、社会生活に必要となるソーシャルスキルを身につけるために効果的なのが「認知行動療法」です。
②認知行動療法とは?|ADHDの治療方法
認知行動療法は心理療法のひとつで、うつ病の治療方法としても効果があるとされています。認知の歪みを改善し、不適切な行動や情動を望ましい行動へと変化させていく方法です。
ADHDの人は、先天的な脳機能の障害の影響で、対人コミュニケーションなどのソーシャルスキルの習得に困難が生じます。
そして年齢相応の行動ができない、まわりの子どもと比べて失敗が多くなり、叱られることも増え、自己否定感や無力感を感じやすくなってしまいます。
こうした「自己否定感」「拒絶感」が認知の歪みとなり、さらに不問題行動が増えて悪化してしまうのです。
このようなADHDの問題を解決するための治療法として認知行動療法が活用されます。
③環境改善法(環境調整法)とは?|ADHDの治療方法
環境調改善法(環境調整法)とは、自分の短所や苦手な分野を自覚し、それを補うために生活環境などを改善する方法です。
例えば、気が散りやすく集中力が続かない場合では、気が散るような音や物の刺激が入ってこないように、よけいな物を机の上に置かない、隣の机との間に仕切板を置く、座席を壁際や一番前にする、などの工夫が環境調整法に当てはまります。
また、ADHDの特性を理解しサポートしてくれる周囲の人間の存在も大切になります。
◆この記事は、お茶の水女子大学大学院教授である榊原洋一先生執筆・監修の「図解よくわかる大人のADHD(ナツメ社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが編集を行っています。
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