[臨床心理]ケースフォーミュレーション(見立て)の進め方とは?

心理療法領域での専門用語として「フォーミュレーション」という言葉が使われています。

日本語の意味としては「見立て」に近い意味として使われることが多い用語ですが、「見立て」とは少しニュアンスが違う意味も含まれている、と考えた方があっているかもしれません。

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そこで今回は、「ケースフォーミュレーション」の意味、進め方などについて、ポイントをまとめてみたいと思います。

ケースフォーミュレーションの意味とは?

「ケースフォーミュレーション」とは、クライエントの問題解決のために仮説を立て、より適切な介入計画へとつなげていく、ことを意味する心理用語です。

もっと簡単な言葉だと、ケースフォーミュレーションは「見立て」の意味だ、ととらえるとイメージしやすいと思います。

また、ケースフォーミュレーションは、かたい日本語では「事例定式化」と呼ばれることもあります。

ケースフォーミュレーションは、なぜクライエントが問題を持つに至ったのか、問題はどのように変化しているか、いまだに解決されていないのはなぜか、改善するためにはどのような介入が効果的か、など様々な観点から「仮説」を立て、問題解決のサポートをする際に反映させることです。

そのプロセスは、目的地にたどりつくための地図づくりにも似ている、と表現されることもあります。

診断とは違う?ケースフォーミュレーション

診断とケースフォーミュレーションは、意味合いは似ている部分もありますが、厳密には違うものと考えることができます。

医師の診断は、精神医学の領域におけるものです。

精神医学は、患者の症状を一般的な診断分類(DSM-5やICD-10など)の沿って診断するシステムです。

このシステムは、患者をサポートする専門家の間で共通認識を持つ、という点にメリットがありますが、症状の原因や成り立ちについては考慮されません。

そのため、時間経過とともに変化しやすい心理的な症状については、必ずしも有効なアプローチとはいえません。

ケースフォーミュレーションのメリットは、こうした精神医学による診断のデメリットを考慮し、クライエント個別の症状や問題の変化に合わせることを重要視しているといえます。

ケースフォーミュレーションとアセスメント

ケースフォーミュレーションでは、アセスメントで得た情報をもとに、クライエントひとりひとりの問題や状態を個別にとらえ、オーダーメイドな介入計画の作成を目指します。

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また「仮説を立てる→検証をする」というプロセスを繰り返します。

その上で、問題に改善がみられない際は、より適切な仮説を立て直す必要があります。

ケースフォーミュレーションの進め方

臨床心理の現場において、ケースフォーミュレーションは次の3つのステップで進められていきます。

・第1段階「問題の明確化」
・第2段階「仮説の探索」
・第3段階「フォーミュレーション」

それぞれのプロセスでのポイントは次のようになります。

第1段階「問題の明確化」

ケースフォーミュレーションでは、まず最初に「問題の明確化」をしていきます。

例えば、「生きている意味がわからない」といったクライエントの漠然とした悩みにも、質問を重ねることで「今の仕事が嫌」といった具体的な理由に導き、クライエントがどのような変化を求めているのかを明らかにします。

・クライエントとの面談、検査、観察などのアセスメントを通して情報を集める
・得られた情報から問題を特定する
・クライエントが求めている援助を明確化する

第2段階「仮説の探索」

「問題の明確化」ができれば、次に、その問題を改善するための「仮説を探索」します。

第2のプロセスでは、クライエントが抱えている問題に対して、改善するためのポイントを絞り込み、仮説を立てて、裏づけのためのアセスメントを行っていきます。

・問題の原因と成り立ちについて仮説を立てる
・仮説を裏づけるために、さらにアセスメントを行う

第3段階「フォーミュレーション」

第3のプロセスでは、情報を要約して問題解決のための「フォーミュレーション(仮説の形成)」をします。

仮説を立てた後(フォーミュレーション)、実際に介入を行ってクライエントの問題解決にアプローチしていきますが、その効果については常に検証が必要です。

クライエントの変化が滞った場合には、そのつど第1段階から第3段階までのプロセスを繰り返し、より適切な介入が行われるように改善を繰り返していきます。

・問題全体と介入に関する仮説を立てる
・仮説をもとにクライエントと話し合い、目標の確認を行う

まとめ「ケースフォーミュレーション」

・ケースフォーミュレーションとは、簡単には「見立て」の意味

・ケースフォーミュレーションの進め方
①問題の明確化
②仮説の探索
③フォーミュレーション

この記事は、次の文献を参考に記事編集しています。

参考文献
・臨床心理学を学ぶシリーズ(東京大学出版会)
・よくわかる臨床心理学(ミネルヴァ書房)
・テキスト臨床心理学(誠信書房)
・臨床心理アセスメント入門(金剛出版)
・徹底図解 臨床心理学(新星出版社)

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